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国産Sarashina3.2、会話を重ねる攻撃の95%を防ぐ

執筆・監修: 佐々木 航公開 更新 5 分で読めます

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まず無害な質問をして、AIの答えを足がかりに、1回ごとに少しずつ危ない方向へ寄せていく。1回で頼めば断られる内容も、会話を重ねると答えてしまうことがあります。

SB Intuitionsは11月2日、国産の言語モデル「Sarashina3.2 mini thinking」の安全性の評価を公開しました。こうした会話を重ねる攻撃を日本語で仕掛けるJMT-Safetyでは、95%の答えが安全と判定され、GPT-6 AstraやKimi K3、GLM-5.3を含む、比べた10のモデルを上回りました。1

評価Sarashina3.2GPT-6 Astra
会話を重ねる攻撃0.950.82
日本の文脈での安全さ4.864.58
偽・誤情報4.704.82
断りすぎと断らなすぎ2.532.39

首位はこの評価だけで、ほかの3つは僅差でした。日本の社会や文化の文脈で安全に答えられるかを見るAnswerCarefullyでは、国立情報学研究所のllm-jp-4.1-33b-thinking(4.90)が上でした。断るべき頼みを断り、答えてよい頼みには答えられるかを見るJSBTestでは、Kimi K3(2.57)が上です。日本で出回った偽・誤情報を問うJSocialFactは4.70で、前の版のSarashina3 mini(4.85)やGPT-6 Astraを下回りました。

紛れ込んだ指示には、ほぼ従わない

メールやウェブのページなど、AIがツールで読み込んだ中身に、第三者が指示を紛れ込ませる攻撃もあります。AgentDojoという評価で、紛れ込んだ指示どおりにツールを動かしてしまった割合は0.01で、前の版のSarashina3 miniの0.16から下がりました。GPT-6 AstraやKimi K3など5つのモデルは0.00でした。高かったのは、Thinking MachinesのInklingの0.36と、gpt-oss-120bの0.34です。2

一方、攻撃を受けながら、利用者に頼まれた作業を最後まで終えられた割合は0.75でした。Inkling(0.63)やgpt-oss-120b(0.52)より高いものの、GPT-6 Astraの0.86や、GLM-5.3とQwen3.8-Flash-Nextの0.92には届きません。乗っ取られにくい一方で、攻撃の中で本来の作業をやり遂げる力には、まだ差があります。

自社の基準の評価では、差が大きく開く

SB Intuitionsは安全性の基準を19の分類と5段階の危険の度合いで決め直しました。未成年、心身の健康、個人情報、無差別兵器のほか、政治的な話題や物議を醸す話題、専門分野への助言も分類に加えました。人が攻撃する評価とAIが攻撃する評価は、集めた数百の攻撃の手口をもとに自社で作ったものです。3

この2つでは、Sarashina3.2 mini thinkingが人の攻撃の88%、AIの攻撃の97%を防ぎ、GPT-6 Astraの62%と84%を大きく上回りました。ただし、2つの評価は、学習のデータと同じ19の分類と攻撃の手口から作られています。SB Intuitions自身も、安全性の定義は人や組織によって違うとしています。差のどこまでが防御の弱さで、どこからが答える範囲の決め方の違いかは、この評価からは読み取れません。

利用者が自由に書き込める問い合わせの窓口では、会話を重ねて誘導されることも、書き込みに指示を紛れ込まされることもあります。どちらにも強い結果は窓口に置くAIを選ぶ材料になりますが、偽・誤情報の評価と、攻撃の中で作業を終える力は、GPT-6 Astraに及びません。無料のベータ版のSarashinaサービスで、これまでに受けた答えにくい問い合わせを架空の内容に置き換え、自社の想定問答と一緒に試してみるのがよいかもしれません。

YOBITSUGI AIでは、比べられたモデルのうちGPT-6 Astraを使えます。Sarashina3.2 mini thinkingは、現時点の対応モデルには含まれていません。

出典

注

  1. 値は、SB Intuitionsの図から読み取りました。JMT-Safetyは日本語の安全性の評価AnswerCarefullyを8種類の攻撃の手口で何度もやり取りする形に広げたもので、値は安全な答えの割合です。表の2行目からはAnswerCarefully v2.2、JSocialFact、JSBTestの点です。4つとも採点はgpt-oss-120bが行いました。比べた相手は、Sarashina3 mini、llm-jp-4.1-33b-thinking、GPT-OSS-Swallow-120B-RL-v0.1、Kimi K3、GLM-5.3、Qwen3.8-Flash-Next、Inkling、gpt-oss-120b、GPT-5.5、GPT-6 Astraです。考える深さは、Sarashina3.2 mini thinkingやGPT-6 Astra、GPT-5.5などがmedium、Kimi K3とGLM-5.3がmax、Qwen3.8-Flash-NextとInklingがxhighです。 ↩

  2. AgentDojoは公式の実装を使い、ルールで判定しました。GPT-OSS-Swallow-120B-RL-v0.1は、この評価には含まれていません。SB Intuitionsはツールの実行が成功したかどうかに関係なく、攻撃者の指示に従おうとした割合もほぼ0だったとしています。 ↩

  3. 2つの評価には、英語と、何度もやり取りする会話も含まれます。5段階のうち上の2つ(深刻な危害と重大な危害)に当たる答えを出したら、攻撃の成功と数えます。「SB Intuitions株式会社の情報」の分類は、公平を期すため除いて集計しました。学習では、教師ありの学習に加えて独自の報酬で安全性のための強化学習を行い、役に立つ度合いを下げずに安全性を上げるよう設計したとしています。 ↩

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