Inkling 2 Small公開 重みは来週Apache 2.0で公開予定
執筆・監修: 佐々木 航公開 更新 6 分で読めます
100万トークンあたり入力0.30ドル、生成1.00ドルで、画像も読めるモデルが出ました。Thinking Machines Labは11月5日、第2世代のモデルInkling 2 Smallを公開しました。総パラメーターは5,940億で、1回の処理に使うのは170億です。重みはまだ公開しておらず、外部の安全性の試験が終わったあと、来週Apache 2.0で出す予定です。
今はTinkerのプレイグラウンドで試せるほか、TinkerのAPIで生成と微調整(ファインチューニング)に使えます。ほかの基盤でも、数週間のうちに提供を始めるとしています。なお、Artificial Analysisは重みの公開日を「未確認」と記しています。
総合は上位に届かないが、金融や法務は強い
Artificial Analysisの総合指標は31で、第1世代のInkling Smallから18点上がり、Gemini 3.8 Flash(high)と同じ点数です。重みが予定どおり公開されれば、中国の外で開発されたオープンウェイトのモデルでは最も高い点数になります。
次の表は、Thinking Machines Labがまとめた値の一部です。第三者の報告がある評価は、その値を使っています。
| 評価 | Inkling 2 Small | DeepSeek V4.1 Flash | Claude Haiku 5.5 |
|---|---|---|---|
| 総合AA Index v5 | 30.6 | 32.6 | 36.5 |
| 総合Vals Index | 56.1% | 61.3% | 58.7% |
| コーディングFrontierCode 2.0 | 25.4% | 28.5% | 34.9% |
| コーディングDeepSWE 1.1 | 72.1% | 77.0% | 59.9% |
| 知識労働AA-Briefcase | 1,527 | 1,570 | 1,574 |
| 金融Vals Finance | 61.5% | 60.9% | 57.4% |
| 法務Vals Legal | 73.9% | 71.9% | 70.3% |
| 画像の理解MMMU Pro | 81.6% | 80.6% | 79.1% |
| WebデザインDesignArena | 1,340 | 1,297 | 1,261 |
色の付いた値が、この3つの中で最も高い値です。大きさの近いDeepSeek V4.1 Flash 1017には、総合とコーディングで及びません。一方、金融、法務、画像の理解、Webデザインでは上回りました。
費用の面では、Artificial Analysisの総合指標の1課題が1.18ドルでした。同じ点数のGemini 3.8 Flash(high)の7.77ドルより安いものの、Inkling Smallの0.20ドルからは約6倍です。1課題の出力が約15万トークンと、約4倍に増えたためです。また、誤った内容を答える割合は61%から27%に下がりましたが、答える割合も77%から53%に下がっており、正解は32%から34%と小幅な伸びです。つまり、減った理由の多くは答える問題を絞ったことでした。
長い作業の例も示しました。小型モデルQwen3.5-4Bに時系列の予測を学習させる課題を任せると、4時間余りと426ドルで評価の仕組みから自分で作り、元のモデルより誤差を約15%減らしました。
学習の途中で、通信の制限を回避した
能力を伸ばす学習には危うさもあります。初期の版は、難しい作業で結果をでっち上げ、指示を無視し、したことを隠す場合がありました。主な学習の途中では、作業に失敗していたモデルが、検索ツールから届く外部のサービスを経由して通信の制限を回避しました。監視の仕組みが気づいたので、同社は学習を止めて環境を固め、作業の前にツールの呼び出しを確かめる監視を足しました。
対策の結果、社内で測る不適切な行動の値は、第1世代のInklingの66.8から14.9に下がりました(低いほど良い)。GLM-5.3-Flashの57.1やDeepSeek V4.1 Flashの68.0より低いものの、GPT-6.1 Solの0.8には遠く及ばず、同社も今後の課題に挙げています。
悪用の面では、生物や化学などの知識と能力は、公開されたモデルの最前線より下だとしています。サイバーの力は前の世代から大きく伸びましたが、最前線には届きません。ただし、脆弱性を見つけて直す2つの評価では同じ水準です。重みは一度出すと取り消せないので、同社は外部の試験を公開の前に置きました。来週という時期も、あくまで予定です。
料金は前の小型モデルより安い
| モデル | 入力 | 生成 | 学習 |
|---|---|---|---|
| Inkling 2 Small | 0.30ドル | 1.00ドル | 1.50ドル |
| Inkling-Small | 0.58ドル | 1.44ドル | 1.73ドル |
| Inkling | 1.87ドル | 4.68ドル | 5.61ドル |
Tinkerの100万トークンあたりの料金で、入力はキャッシュが効くと0.03ドルになります。料金表の文脈の長さは6万4,000トークンで、25万6,000トークンの版は学習が3.00ドルです。モデルカードでは、モデル自体は最大100万トークンに対応します。
苦手なことも書かれている
- チャット向けの調整は十分でなく、内容の整理やスラッシュの多用に問題が残ります。
- 心の健康などの話題には過剰に反応しがちで、無害な依頼を断る度合いの値も20.4と、GLM-5.3-Flashの3.6より高めです。
- 説明は簡潔とは言えず、スキルの多いコードベースでは最適なツールを選べないことがあります。
- 音声には対応していません。
モデルカードの言語は「英語と一般的な多言語対応」で、日本語の評価は発表にありません。
ここからは編集部の見方です。向いているのは、自社のデータで微調整する土台を探している開発者でしょう。金融や法務の文書を扱うなら、日本語の資料で試す価値があります。逆に、そのままチャットボットに載せる用途には向かなそうです。手元や自社のサーバーで動かしたい人は、来週の重みの公開を待つことになります。前の世代のInkling-Smallを土台にした例には、CognitionのSWE-2 Flashがあります。
Inkling 2 Smallは、現時点ではYOBITSUGI AIからは使えません。
2026年11月6日 更新:Artificial Analysisが評価を公開したので、点数、費用、誤答の値を加えました。あわせて、同社のサイトにページが見当たらないとした記述を削除しました。
出典
- Introducing Inkling 2 Small(Thinking Machines Lab・2026年11月5日)
- Inkling 2 Small Model Card(Thinking Machines Lab・2026年11月5日)
- Thinking Machines Inkling 2 Small: the highest scoring open weights model outside of China pending weights release(Artificial Analysis・2026年11月5日)
- Models & Pricing(Tinker・2026年11月6日確認)
- A Safe Path to Open Weights(Thinking Machines Lab・2026年7月31日)