推論の強さ(reasoning effort)は下げていい? 5つのQ&A
執筆・監修: 佐々木 航公開 更新 4 分で読めます
AIに考える時間を短くさせたら、答えはどれだけ悪くなるのでしょうか。APIでClaudeやGPT、Geminiを使っていると、「effort」や「thinking_level」という設定に出会います。値は2026年11月5日時点の各社の公式の説明と、今週公開された2つの検証から取りました。
Q1. 推論の強さとは何ですか?
答える前に、モデルがどれだけ考えるかを決める設定です。考えた分のトークン(推論トークン)は画面には出ませんが、OpenAIもGoogleも、出力トークンとして料金がかかると説明します。強さを下げれば、そのぶん費用と待ち時間が減ります。
名前は会社ごとに違います。Claudeはoutput_config.effort、OpenAIはreasoning.effort、Geminiはthinking_levelです。Anthropicによると、effortは厳密な上限ではなく目安で、低くしても難しい問題ではそれなりに考えます。
Q2. 何も指定しないと、どの強さで動きますか?
| モデル | 既定 | 選べる段階 |
|---|---|---|
| Claude Opus 5.5 | medium | low〜max(5段階) |
| Claude Sonnet 5.5 | high | low〜max(5段階) |
| Claude Haiku 5.5 | medium | low〜max(5段階) |
| GPT-6.1 Sol | medium | noneとminimalは選べない |
| Gemini 4 Argon | medium | low・medium・high |
| Gemini 3.8 Flash | medium | low・medium・high |
気をつけたいのはClaude Opus 5.5です。Opus 5までの既定はhighだったので、指定しないまま新しいモデルに替えると、1段低い強さで動きます。GPT-6 SolとGPT-6 Lunaの既定もmediumです。
Q3. 下げると、点はどれだけ落ちますか?
Vals AIは11月3日、7社のモデルを最低の設定と、順位表で使う設定(多くは最高)で比べました。最低にすると、7モデルのうち4つが、半分以下の費用で80%以上の点を残しました。
| モデル | 点 | 費用 |
|---|---|---|
| Claude Opus 5.5 | 80% | 16% |
| GPT-6 Astra | 88% | 18% |
| Grok 4.7 | 86% | 16% |
| Gemini 4 Argon | 99% | 84% |
比べた相手は最高の設定で、APIの既定ではありません。既定のmediumから下げる場合、差はこれより小さいはずです。詳しくはVals AIの検証の記事で確かめられます。
Q4. どんな仕事なら下げてよいですか?
Vals AIの検証では、仕事によって落ち方が大きく違いました。最高と最低の設定の差は、7モデルの中央値で、判例と法令の調査が19.2点、コードの別の言語への移植が15.6点でした。一方、Excelの財務モデルづくりや法務の成果物づくりは3.3点でした。
Googleが11月3日に公開した検証では、Gemini 3.8 Flashを思考lowにすると、短いコーディングの課題50問にすべて正解したまま、費用は既定の半分以下でした。各社の説明も、低い設定の使い道として、OpenAIは下書きやデータ分析、顧客対応のチャット、Anthropicは単純な仕事や補助のエージェントを挙げます。
Q5. 出力の上限を絞れば、同じことになりませんか?
なりません。Googleの検証では、出力の上限を4096から300に絞っても、簡単な課題での考える量はほとんど変わりませんでした。逆に、難しい課題25問のうち7問が、考えている途中で上限に達して失敗しました。Googleの説明書によると、上限に達すると答えは途中で切れ、それまでの思考トークンには料金がかかります。そのためGoogleは、費用を下げたいなら上限ではなく推論の強さを下げるよう勧めます。検証の数字はGoogleの50問の検証の記事で確かめられます。
まず何を試すか(編集部の見方)
まずは既定のまま、自社のふだんの課題を数十件用意します。次に1段だけ下げて、正解の数と1件あたりの費用を比べれば、下げてよいかが分かります。判例の調査やコードの移植のように、検証で差が大きく出た仕事は、下げる前に件数を多めにして確かめるのが安全です。分類や抜き出しのような短い仕事なら、Gemini 3.8 Flashのlowのように、強さより先にモデルを軽くする手もあります。
YOBITSUGI AIでは、Claude Opus・Sonnet・Haiku、GPT-6.1 Sol、Gemini 4 Argon・Gemini 3.8 Flashなどを使えます。選べるモデルは、アプリのモデルの選択欄で確認できます。
出典
- Effort(Anthropic・2026年11月5日確認)
- Reasoning models(OpenAI・2026年11月5日確認)
- Gemini thinking(Google・2026年11月5日確認)
- How Much Does Reasoning Effort Affect Score and Cost?(Vals AI・2026年11月3日)
- Cost per task: Using cheap classifiers to route across Gemini models and thinking levels(Google Developers Blog・2026年11月3日)