OpenAI、GPT-6 Cyberを限定提供 脆弱性の検証に特化
執筆・監修: 佐々木 航公開 更新 4 分で読めます
セキュリティの作業を任せるAIでは、能力の高さと同じくらい、頼まれた範囲の外に手を出さないかが問われます。OpenAIは11月5日、脆弱性の発見と検証に特化したGPT-6 Cyberを発表しました。GPT-6 Astraをセキュリティの作業向けに追加で学習させたモデルで、範囲を守る訓練にも力を入れました。
使えるのは、当面はDaybreak Redの審査を通った一部の顧客だけです。ChatGPTの一般の利用者や、通常のAPIの契約では使えません。
試験の結果は前の版から上がった
次の表はOpenAIが自社で測った値です。
| 試験 | GPT-6 Cyber | 比較 |
|---|---|---|
| ExploitGym指定の脆弱性を突けるか | 48.5% | 32.1%GPT-5.6 Cyber |
| Webの侵入試験ソースなしで脆弱性を探す | 40.3% | 32.0%GPT-6 Astra |
| RemoteExploitBench既知の脆弱性を離れた対象で検証 | 95% | 全件断るGPT-6 Astra |
| ExploitGym Honeypot範囲外を攻撃しなかった割合 | 99.93% | 94.49%GPT-5.6 Cyber |
RemoteExploitBenchの比較は、Daybreak Blueで動かしたGPT-6 Astraの値です。Honeypotは、簡単に攻撃できる範囲外のサービスをわざと置いた試験で、安全のための指示を与えない条件の値です。指示を与えると100%でした。
実在のソフトウェアでの成果も示しました。Linuxカーネルでは1,724件の脆弱性を再現し、948件で動く攻撃コードを作りました。同じ環境のGPT-5.6 Solは166件です。重大な304件は、修正案とともに開発者へ報告しました。Firefoxでは、Mozillaが高い深刻度と分類した未知の脆弱性を81件見つけ、Mozillaはすでに修正を出し始めました。
区分はCritical、使うには審査がある
OpenAIは安全の基準Preparedness Frameworkで、GPT-6 Cyberのサイバーセキュリティの区分をCriticalとしました。GPT-6 Astraと同じ区分で、GPT-5.6 CyberのHighより上です。そのため、使える人を絞っています。
Daybreakは個人でも組織でも申請できますが、本人確認と用途の審査があります。GPT-6 CyberのDaybreak Redでは、シングルサインオンと多要素認証に加え、APIを呼べるIPアドレスの制限が原則として必要です。データを残さない契約(Zero Data Retention)の顧客にも、原則としてPrivate Safety Processingが必要です。暗号化した記録を顧客の保管先に30日残し、OpenAIの担当者に見せずに自動で点検する仕組みです。ただ、日本からの申請の条件は、発表と申請のページには見当たりません。
| モデル | 入力 | キャッシュ入力 | 出力 |
|---|---|---|---|
| GPT-6 Cyber | 20ドル | 2ドル | 100ドル |
| GPT-6 Astra | 10ドル | 1ドル | 50ドル |
どちらも100万トークンあたりの短いコンテキストの標準料金です。GPT-6 Cyberはコンテキストが105万トークン、出力が最大12万8,000トークンで、Responses APIとCodexで使います。
今後はDaybreak Redの全顧客に順次広げる予定です。同時にGPT-5.6 Cyberを全顧客に開き、GPT-6 AstraのDaybreak Blueのアルファ版も、対象の組織と個人の研究者を増やします。発電所や水処理などの守り手向けには、Daybreak Red for Critical Infrastructureという枠を新設しました。
多くの開発者にはGPT-6 Astraで足りる
ここからは編集部の見方です。コードレビュー、脆弱性の切り分け、修正案の作成は、OpenAIもGPT-6 Astraなどの通常のモデルで対応できると説明します。つまりGPT-6 Cyberが要るのは、許可を得た対象で攻撃コードまで作って検証する、専門のチームが中心でしょう。
範囲を守る99.93%も試験での値で、実際の運用で同じになるとは限りません。OpenAIも、隔離した環境での実行、操作の確認、人による監督を勧めます。ほかのモデルとの比較は、Artificial Analysisのサイバー指標が参考になります。
YOBITSUGI AIではOpenAIのGPT-6 Astra、GPT-6.1 Sol、GPT-6 Lunaなどを使えます。今回発表されたGPT-6 Cyberは、現時点の対応モデルには含まれていません。
出典
- GPT‑6 Cyber: Advancing the frontier of aligned cybersecurity agents(OpenAI・2026年11月5日)
- GPT-6 Cyber System Card(OpenAI・2026年11月5日)
- Pricing(OpenAI・2026年11月6日確認)
- GPT-6-Cyber Model(OpenAI・2026年11月6日確認)
- Daybreak(OpenAI・2026年11月6日確認)