Vals AI、米国の移民法でAIを評価 首位はFable 5.1
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ビザの手続きを1つ間違えると、米国で働く資格を失うこともあります。その相談をAIにしたとき、いちばん成績のよいモデルでも、専門家が必要とみる内容の4分の1ほどが抜けていました。
AIモデルの評価を手がけるVals AIは10月28日、Talent Mobility Fundと共同で、米国の移民法でAIを試す評価「Immigration Bench」の結果を発表しました。25のモデルに262問を解かせたところ、首位はClaude Fable 5.1です。専門家が答えに求める項目の平均75.4%を満たしましたが、すべての項目を満たした問題は26.3%にとどまります。2位のClaude Opus 5.5は72.1%で、ここから67.7%までの間に10のモデルが並びました。1
| モデル | 検索なし→あり |
|---|---|
| Fable 5.1 | 75.4→76.6 |
| Opus 5.5 | 72.1→75.1 |
| Muse Wonder Full | 71.2→76.3 |
| Qwen 3.8 Max | 70.1→77.5 |
| Sonnet 5.5 | 69.0→74.3 |
| Grok 4.7 | 68.0→74.1 |
| GPT-6.1 Sol | 67.8→69.2 |
| DeepSeek V4.1 Flash | 65.6→73.9 |
| Haiku 5.5 | 61.8→70.8 |
| Gemini 3.5 Flash Lite | 55.7→58.5 |
新しい決まりは、ほとんど押さえていない
違いがはっきり出たのは、2025年と2026年に変わった決まりです。こうした決まりに触れる項目は、25のモデルを合わせても7.3%しか満たされませんでした。それ以外の項目は64.0%です。首位のFable 5.1でも18.5%で、ウェブ検索を使わせても、最高はQwen 3.8 MaxとClaude Opus 5.5の43.1%でした。たとえば、留学生の在留期間の決め方を変える2026年7月の規則について、検索なしで、規則の前と後に入国した人を分けて答えたモデルはありません。検索ありでも3つだけです。
もう一つの弱点は、相談した人の事情に当てはめることです。在留資格の段階や申請の経緯など、本人の事情を確かめる項目は43%しか満たされませんでした。法律の説明や次の手順を示す項目は63%、決まった誤りを避ける項目は86%です。AIが聞き返しても、全体の点はほとんど変わっていません。2
検索は効くが、時間がかかる
ウェブ検索を使わせると、25のモデルの平均は4.7ポイント上がりました。雇う側の会社の質問では、10.4ポイント上がっています。そのかわり、会話は長くなります。Claude Opus 5.5は、検索なしなら1回の相談が中央値13分のところ、検索ありでは70分でした。検索ありの首位はQwen 3.8 Maxの77.5%です。ただ、答えが長いほど項目に当たりやすく、長さをならすとMetaのMuse Wonder Full(Meta、エージェント向けモデルMuse Wonderを公開)が首位になるとしています。3
費用は、Fable 5.1が1問あたり約2.11ドルです。Opus 5.5はトークンの単価が半分以下ですが、出力が約2.5倍あり、1問2.16ドルとほぼ同じでした。Grok 4.7とGPT-6.1 Solは約24セントで、Fable 5.1との差は8ポイントほどです。4
ビザの相談に使うなら(編集部の見方)
制度の全体はつかめても、自分の場合の判断は任せられない。わりと実感どおりの結果です。留学や赴任の準備で使うなら、ビザの種類や用語の確認にとどめ、2025年以降に変わった点は、USCIS(米国の移民局)や大使館の案内、留学先や勤め先の担当者に確かめるのが安全です。報告も、最近の決まりは検索の有無にかかわらず、政府の一次情報で確かめるよう勧めています。
試したのは英語の質問で、各社のAPIを既定の設定で呼んだ結果です。ChatGPTやGeminiのアプリは試しておらず、日本語で聞いたときの差も示されていません。採点役のClaude Sonnet 5は、上位のClaudeと同じAnthropicのモデルです。Fable 5.1の首位ははっきりしていますが、その後ろの10のモデルは4.4ポイントの間に並んでいて、順位より傾向として読むのがよいかもしれません。
YOBITSUGI AIでは、首位のClaude Fable 5.1と、Claude Opus、Claude Sonnet、Claude Haikuを使えます。OpenAIのGPT-6 Astra、GPT-6.1 Sol、GPT-6 Luna、GoogleのGemini 4 ArgonとGemini 3.8 Flash、xAIのGrok 4.7も使えます。DeepSeekのDeepSeek V4.1 FlashとDeepSeek V4 Pro、Mistral AIのMistral Large 4にも対応しています。Muse Wonder FullやQwen 3.8 Maxなどは、現時点の対応モデルには含まれていません。
出典
- Can AI Get Immigration Right?(Vals AI・2026年10月28日)
注
262問は、専門家が書いた519問のうち、公開しない試験用の問題です。残りの257問は、各社が自社の評価に使えるよう取ってあります。質問は、留学生、研究者や教員、大学の留学生担当、雇う側の会社、起業家、自分で申請する人、DACAやTPSなど立場の不安定な人の7つの立場から書かれています。点の標準誤差は1.4〜1.7ポイントで、Fable 5.1とOpus 5.5の差は、95%の幅で1.2〜5.4ポイントです。表の値は採点項目を満たした割合(%)で、検索なしの点の順に並べました。検索ありの点は、順位表には載っていません。 ↩
会話は最大5往復で、相談する人の役をGPT-6 Lunaが演じ、Claude Sonnet 5が採点項目ごとに満たしたかを判定しました。この採点は、2人の専門家の判断が一致した項目で、88.6%同じ結果だったとしています。立場別では、留学生の質問が85.6%でいちばん高く、立場の不安定な人が51.1%、大学の留学生担当が48.5%で低い結果でした。最初の返答で聞き返したモデルは、事情を確かめる項目が約4ポイント上がりましたが、全体の点の差は1ポイント未満でした。 ↩
検索で読めるのは、問題を固めた2026年9月21日までのページです。上がり幅は、MiniMax-M3が9.1、Claude Haiku 5.5が9.0、DeepSeek V4.1 Flashが8.3ポイントで大きく、Fable 5.1は1.2ポイントでした。検索ありの会話の中央値は、Claude Sonnet 5.5が63分、Qwen 3.8 Maxが40分、Fable 5.1が22分、Grok 4.7が12分です。長さをならした場合、Muse Wonder FullはQwen 3.8 Maxより1.3ポイント、Fable 5.1より1.4ポイント上でした。 ↩
Grok 4.7は68.0%、GPT-6.1 Solは67.8%です。MetaのMuse Spark 1.2は、1問4セント未満で66.5%でした。1問あたりの出力のトークンは、Muse Spark 1.2の約6,800から、Claude Sonnet 5.5とClaude Haiku 5.5の約9万5千まで、10倍以上の開きがあります。 ↩
