LLMの利用を明記した査読前論文、数学で38%に 生物学は17%
公開 4 分で読めます
9月に投稿された数学の査読前論文の38%が、LLMを使ったと明記していました。4月には4%でした。
Epoch AIは10月30日、生物学の査読前論文を調べた結果を公開しました。bioRxivの9月の論文のうち、LLMの利用を明記したものは17%です。AlphaFoldのような専門のAIツールを使った19%に、ほぼ並びました。冒頭の数学の値は、同じ日に更新された公開データから計算した値です。1
| 分野 | 4月→9月 |
|---|---|
| 数学 | 3.9%→38.0% |
| 統計 | 6.8%→23.4% |
| 生物学 | 10.9%→17.2% |
| 物理 | 4.0%→16.6% |
数学の伸びは、AIに慣れた新しい書き手が増えたからではなさそうです。2023年より前から論文を出している著者のいる論文に絞っても、8月までの差はごく小さいままです。
ただ、この表をそのまま順位として読むのは危ういところです。bioRxivは2023年8月からAIの利用を明記するよう求めていて、arXivにそうした決まりはありません。生物学が早くから高かった背景にも、この違いがあるのかもしれません。2
数学は研究に、生物学は文章に
同じLLMでも、使い道はかなり違います。
| 9月の割合 | 数学 / 生物学 |
|---|---|
| 研究 | 26.8% / 3.9% |
| 文章 | 26.8% / 12.8% |
| コード | 8.4% / 7.9% |
| 文献調査 | 8.4% / 0.9% |
差がいちばん大きい使い道は研究です。数学では、研究に使ったと書いた論文が文章に使った論文と同じ数で、生物学は3.9%にとどまります。もっとも、数学の研究の多くは手伝いの水準でしょう。共著者に近い貢献をしたと書いた論文は、8月で6%でした。3
生物学でいちばん伸びたのはコードです。この1年で、文章は4.4%から12.8%へ約3倍になり、コードは1.3%から7.9%へ約6倍になりました。分野別でも、バイオインフォマティクスの31.6%やシステム生物学の27.1%が高く、生物物理学の9.4%や生態学の10.8%は低めです。
専門のAIツールも同じ1年で15.6%から18.9%へ上がりましたが、LLMは6.4%から17.2%まで来ました。いちばん多いAlphaFoldは9月に9.1%です。次の更新で順番が入れ替わってもおかしくありません。4
ちなみに、論文を読んで数えたのもLLMです。人が238件を確かめたところ、226件で判定が一致しました。5
数えられるのは書いた人だけ
この数字が示すのは、使った人の割合ではなく、使ったと書いた人の割合です。書かずに使っている研究者もいるはずなので、Epoch AIも実際の利用はもっと多い可能性があるとしています。逆に、書くことが当たり前になるだけでも割合は上がります。
国別の内訳はデータに無く、日本の研究者の動きは分かりません。査読前論文を出す人にとって確かなことは、投稿先によって明記の決まりが違うという点です。使い方と同じくらい、どう書くかが問われる分野も増えていくかもしれません。
YOBITSUGI AIでは、文章やコードの作業に、Claude Opus 5.5やGPT-6.1 Sol、Gemini 4 Argonなどの言語モデルを使えます。AlphaFoldのような専門のAIは、現時点の対応モデルには含まれていません。
出典
- LLM use is acknowledged almost as often as specialized AI tools in biology preprints(Epoch AI・2026年10月30日)
- AI use in research(Epoch AI・2026年10月30日更新)
- AI use in research documentation(Epoch AI・2026年10月31日に確認)
- In August, 25% of math preprints acknowledged AI use, up from 4% in April(Epoch AI・2026年9月18日)
注
数学、統計、物理、用途別、分野別の割合は、Epoch AIが公開したCSVから編集部が計算しました。9月の論文は数学7,926本、統計853本、生物学4,922本、物理10,003本です。生物学はbioRxiv、それ以外はarXivの論文です。修正版であとから明記した分は最初の版の月に数えるので、最近の月の値はこれから動くかもしれません。 ↩
Epoch AIの推定では、上位の学術誌に載る論文のうち、先に査読前論文として出たものは、数学で95%超、物理で約80%、統計で約70%、生物学で約30%です。生物学の査読前論文には、コンピューターを使う分野が多めに入っている可能性もあるとしています。 ↩
1本の論文が複数の用途に数えられます。「研究」には、実験の設計、データのラベル付け、統計の分析などが入ります。共著者に近い貢献の6%は、Epoch AIが9月18日に公開した数学の分析の値で、同じ月の「研究」の割合は18.3%です。 ↩
専門のAIツールは、タンパク質の構造や設計、画像の解析、単一細胞の解析、ゲノムなどの150のツールを数えています。LLMの数には、名前を挙げていないAIツールの明記も入ります。 ↩
GPT-5.6 Solが、AIの語の前後と謝辞などを読んで、著者がLLMの利用を認めているかを判定しました。用途の分類は、GPT-6 Lunaを使うOpenAI Decisions APIです。LLMを研究の対象にしただけの論文や、「AIを使っていない」という断りは数えていません。 ↩
