RPA の代わりに使うなら
公開 11 分で読めます

Web のページから情報を集めて表にする、CSV の内容をフォームに 1 件ずつ入力する。こうした定型の作業は、RPA(パソコンの操作を自動で行うソフト)でよく自動化されますが、AI に日本語で頼んで任せることもできます。この記事では、YOBITSUGI AI に 2 つの作業を実際に頼み、RPA の代わりになる所と、ならない所を確かめました(2026 年 10 月時点)。記事 52 本の一覧の Excel は 1 分 41 秒、フォームへの 10 件の入力は 1 分 36 秒で終わり、ほかの確認を合わせた費用は約 260 クレジットです。
結果を先にまとめると、インターネットに公開されているページと、ファイルを相手にする作業は任せられました。手元のパソコンの画面の操作、社内のネットワークの中のシステムへの入力、決まった時刻の自動実行は、できませんでした。
向いている AI・道具
YOBITSUGI AI では、Claude(メインのエージェント)が、セッションごとに用意されるワークスペースの中で、コマンドやブラウザを動かして作業します。今回使われたものは次のとおりです。
| 役割 | 使われた AI・道具 | 今回やったこと |
|---|---|---|
| 手順を決めて進める | Claude Opus 5.5(YOBITSUGI AI の既定のモデル) | サイトの作りを調べて集め方を決め、CSV とフォームの食い違いを判断した |
| ページを取ってくる | curl と Python | 一覧のページを 1 秒おきに取り、題・公開日・URL を取り出した |
| ブラウザを操作する | ワークスペースの中のブラウザ(Playwright) | フォームを開き、項目に入力して、送信ボタンを押した |
| 表にまとめる | Excel のファイルの作成 | 見出しの固定、日付の形、失敗した行の色分けをした |
| くり返す | ファイル置き場に保存したスクリプト | 次の会話で、短い依頼から同じ表を作り直した |
RPA について、UiPath は「デジタルシステムやソフトウェアと対話する人間の行動を模倣するソフトウェアロボット」を作って動かす技術だと説明しています。Microsoft の Power Automate のデスクトップ フローは、Windows のアプリとしてパソコンで動かし、Web やデスクトップのアプリを、UI 要素・画像・座標を使って操作できます。一方、YOBITSUGI AI のワークスペースは、セッションごとに用意される別の環境です。この違いが、あとで書く「できないこと」につながります。
頼み方の例
Web のページから集めて、Excel にまとめる
当社のメディア https://media.yobitsugi.ai/ に載っている記事を一覧にして、Excel にまとめてください。
- 対象は、AI ニュース・AI の紹介・比較・〇〇をするなら・業界の動き の記事すべて(一覧のページやタグのページは除く)
- 列は、種類・題・公開日・URL
- 公開日の新しい順に並べ、1 行目は見出しにして固定し、列の幅を整えてください。公開日は、日付として並べ替えられる形にしてください
- サイトへのアクセスは必要な分だけにして、続けて取るときは 1 秒ほど間をあけてください
ファイル名は media-articles.xlsx でお願いします。できたら、何本あったか(種類ごとの内訳)と、取れなかった項目があれば教えてください。今日は日本時間で 2026 年 10 月 14 日です。
CSV の内容を、フォームに 1 件ずつ入力する
添付の applicants.csv の 10 件を、さきほどのフォームに 1 件ずつ入力して、送信してください。
- 人が操作するのと同じように、ブラウザでフォームを開き、項目に入力して、送信ボタンを押してください(サーバーに直接データを送らないでください)
- CSV の内容は直さずに、そのまま入力してください。エラーになった行は、エラーの内容を記録して次へ進んでください
- 終わったら、CSV に「結果」「受付番号」「エラーの内容」の列を足した result.xlsx を作ってください
- 途中の画面を 3 枚(入力し終えて送信する前・完了ページ・エラーが出たところ)と、最後に一覧のページを、PC の幅で撮って見せてください
成功と失敗の件数も教えてください。
ポイントは 2 つです。
- 迷ったときの決まりを先に書く: 「内容は直さない」「エラーは記録して次へ進む」と書いておくと、AI がデータを書き換えて進めることを防げます。
- 結果と画面を残してもらう: 1 件ごとの結果を表にし、途中の画面も残してもらうと、あとから人が確かめられます。
操作する相手は、自社のサイトか、許可を得たサイトだけにします。自動での取得や操作を、利用規約で禁じているサイトもあります。
実際にやってみた
1. 記事の一覧を Excel にまとめる
当メディアの記事の一覧を頼みました。Claude はまず robots.txt とサイトマップでサイトの作りを確かめ、種類ごとの一覧のページから、題・公開日・URL を集めました。

1 分 41 秒で、52 本の一覧が Excel で届きました。Claude の報告では、サイトへのアクセスは 14 回で、記事のページそのものは開いていません。

件数が合っているかは、別の方法で確かめました。52 本の URL はすべてサイトマップにあり、サイトマップにあって表に無い 8 本は、頼んだ対象の外(お知らせなど)でした。題と公開日は、38 本を元の記事と照らし合わせて、すべて一致しています。
2. 次からは、短い依頼でくり返す
定型の作業は、くり返せることが大事です。同じ会話で、次のように頼みました。
ありがとうございます。この表は毎週作り直したいです。次からは短い依頼で同じ表が出るように、今回の手順をスクリプトにして、ファイル置き場に保存してください。次回、何と頼めばよいかも教えてください。
Claude は手順を Python のスクリプトにしてファイル置き場に保存し、次回は「メディアの記事一覧を更新して」と頼めばよいと答えました(1 分 5 秒)。新しい会話でその言葉だけを送ると、46 秒で同じ 52 本の表ができました。かかったクレジットは、最初の 66.1 に対して 29.9 です。

3. 見本のフォームに、CSV の 10 件を入力する
入力する相手として、架空のセミナーの申し込みフォームを、YOBITSUGI AI にワークスペースの中で作ってもらいました(1 分 21 秒)。必須の項目とメールアドレスの形、参加人数(1〜5 人)を確かめ、同じメールアドレスの 2 回目の申し込みは断るフォームです。
CSV は 10 件で、うち 4 件は、わざとエラーになる内容にしました(全角の「@」・参加人数が 7 人・同じメールアドレスの 2 回目・選択肢にない希望日)。上の依頼文を送ると、1 分 36 秒で終わりました。


結果は成功 6 件・失敗 4 件で、失敗したのは、用意した 4 件でした。

気づいた点が 2 つあります。
- 書き方の違いは、指示しなくても合わせた: CSV の希望日は「2026/11/12」、フォームの選択肢は「2026年11月12日(木)」でしたが、同じ日として選んでいました。
- 判断がつかない所は、勝手に決めなかった: 選択肢にない「2026/12/03」の行は、近い日を選ばず、希望日を選ばないまま送信して、エラーと理由を記録していました。

ただし、このフォームは YOBITSUGI AI が自分で作ったもので、項目には、自動で操作しやすい印(ID)が付いています。作りの分からないサイトで同じように進むかは、この記事では試していません。
4. できないことを確かめる
新しい会話で、次の 3 つができるかを、「試せるものは、実際に試してから答えてください」と添えて尋ねました。
- 手元のパソコンで開いている Excel や、デスクトップのアプリの画面を操作する
- 社内のネットワークからしか開けないシステムを開いて、入力する
- 毎朝 9 時に、同じ作業を自動で始める

答えは、3 つとも「できない」でした。ワークスペースは使う人のパソコンにつながっておらず、社内のシステムの例に挙げたアドレスは、見つからず開けませんでした。時刻を決めて動かす仕組みもありません。
うまくいかないとき
今回、実際に起きたことです。
- 頼んでいないのに、だれでも開ける公開リンクが作られた: 記事の一覧の Excel を渡すとき、Claude は、ログインなしでだれでも開けるリンクを作って答えに載せました。今回の中身は公開されている記事の一覧でしたが、社外に出せない表を扱うときは、依頼文に「公開リンクは作らないでください」と書いておきます。
- 「覚えておきました」は、次の会話に引き継がれていなかった: スクリプトを保存したとき、Claude は頼み方と場所を「覚えておきました」と答えましたが、新しい会話では、その覚え書きを読むコマンドに失敗の印が付いていました。それでも、ファイル置き場に残っていたスクリプトを見つけて、同じ表を作っています。くり返す作業の手順は、ファイル置き場に保存してもらいます。
- 件数が合っているか分からない: 集めた結果は、サイトマップや元のページなど、別の方法で確かめます。
YOBITSUGI AI でできること・できないこと
今回試した結果を、RPA の製品の公式の説明と並べます。
| やりたいこと | YOBITSUGI AI(今回の結果) | RPA の製品(公式の説明) |
|---|---|---|
| 公開ページから集めて表にする | できた(52 本を Excel に) | Web のアプリを自動化できる(Microsoft) |
| フォームに CSV を入力する | できた(ワークスペースの中の見本のページ) | フォームへの入力は、ロボットの作業の例(UiPath) |
| 手元のパソコンの画面を操作する | できなかった | デスクトップのアプリを操作できる(Microsoft) |
| 社内のシステムに入力する | できなかった | ERP システムへのデータ入力が例に挙がっている(Microsoft) |
| 決まった時刻に無人で動かす | できなかった | 非アテンド型の実行のプランがある(Microsoft) |
今回の結果からは、公開されているページの情報を集める作業と、渡したファイル(CSV や Excel)を扱う作業は、YOBITSUGI AI に任せられます。手元のパソコンのアプリの操作、社内のシステムへの入力、決まった時刻の無人の実行には、RPA の製品など、その環境の中で動く仕組みが要ります。Claude 自身も、問いへの答えの最後に「RPA で動かす手順やスクリプトを作る係として使うのが向いています」と書いていました。
料金の目安
YOBITSUGI AI は月額の費用がなく、使った分だけクレジットが減る仕組みです。モデルごとの金額は 料金とシミュレーション で確認できます。今回は、合わせて約 260 クレジットでした(2026 年 10 月時点)。
| 作業 | クレジット | かかった時間 |
|---|---|---|
| 記事の一覧を作る | 約 66.1 | 1 分 41 秒 |
| スクリプトにする | 約 30.5 | 1 分 5 秒 |
| 短い依頼でくり返す | 約 29.9 | 46 秒 |
| 見本のフォームを作る | 約 47.9 | 1 分 21 秒 |
| CSV の 10 件を入力 | 約 59.6 | 1 分 36 秒 |
| できないことを尋ねる | 約 13.0 | 21 秒 |
表は、アプリの画面に出た依頼ごとの値です。このほかに、依頼が終わってからワークスペースが自動で止まるまで(最後の依頼から 15 分)の分が、4 つの会話で合わせて約 13 クレジットかかりました。
RPA の製品の料金は、各社の公式のページで確認できます。Microsoft の Power Automate は、アテンド型(人が操作するパソコンで動かす形)のデスクトップ フローを含む Power Automate Premium が 1 ユーザーあたり月 ¥2,248 相当、非アテンド型の Power Automate Process が 1 ボットあたり月 ¥22,488 相当です(年払い・税別。2026 年 10 月時点)。
関連する記事
- セキュリティチェックをするなら
- Web サイトを作るなら
- 退職者のマクロが動かない 野良Excel・野良RPAの引き継ぎ方と判断表(情シスのミカタ)
- PADがクラウドフローなしで予定実行に対応へ 情シスが見る点(情シスのミカタ)
- CSVをExcelで開くと0が消える・日付に化ける 原因と正しい開き方(情シスのミカタ)
出典
- ロボティック・プロセス・オートメーションとは - RPAソフトウェア | UiPath(UiPath・2026-10-14 確認)
- デスクトップ フローの概要 - Power Automate | Microsoft Learn(Microsoft・2026-10-14 確認)
- Power Automate の価格 | Microsoft Power Platform(Microsoft・2026-10-14 確認)
- Fast and reliable end-to-end testing for modern web apps | Playwright(Playwright・2026-10-14 確認)
- YOBITSUGI AI(呼継AI)(株式会社Game・2026-10-14 確認)
- 料金とシミュレーション | YOBITSUGI AI(呼継AI)(株式会社Game・2026-10-14 確認)


